2013年7月31日水曜日

文科省、H-Ⅲロケットに関する政策方針を公表。打上げ能力6トン、開発費1,900億円、JAXA主体で一層の低コスト化図る。

文部科学省は、12日の科学技術・学術審議会において、次期基幹ロケット(いわゆるH-Ⅲロケット)の開発に関する政策動向を報告した。次期基幹ロケットを「市場で評価される実用に供するシステム」として位置付けた上で、「安全保障に係る国家基幹技術」として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心として開発を進める方針が示されている。また、将来の民間移管を視野に、「低コスト化」や「民間企業の積極的な開発参加」を行う方針も示されている。



文科省が科学技術・学術審議会の宇宙開発利用部会に報告した資料によれば、7~8年で約1,900億円を投じて次期基幹ロケットを開発する方針。2~3トン級の地球観測衛星(低軌道)から6トン級の大型静止衛星までの打ち上げ能力を目指す他、ロケット自身による自律点検、自己監視機能の開発により、地上設備の削減も視野に入れる。経済面では、打上げコストの半減を目標に、現行のH-IIAロケットが一機当たり約100億円の打上げコストを要するところを、50~65億円の水準まで引き下げたいとしている。


同報告においては、次期基幹ロケットに関する文科省側の意向も明らかにされている。基幹ロケットが国家基幹技術でありながら民間主体での開発が困難なこと、民間業者の技術統合が必要不可欠であることなどを理由として、JAXAを主体とする開発体制を整備する構想が伺える。また、最近のロシアにおける一連の失敗を例に挙げて、我が国において長期間にわたり新規開発を行っていないことから生じる「重大トラブルへの対応能力や開発能力の低下」への懸念にも言及している。


詳細は文科省報告資料を参照。
文科省報告「次期基幹ロケットを巡る政策動向について

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