2013年12月31日火曜日

JAXA、スマートフォン、タブレット向け地球観測データ利用アプリの開発に関するワークショップ開催へ。デジハリ大などと共催。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、現在実施しているスマートフォン・タブレット向けの地球観測データを利用したアプリ開発コンテストに関連し、ワークショップを開催することを明らかにした。一般向けに、「しずく」などの地球観測データ利用アプリに関する意見交換を行うワークショップ「アイデアソン」を開催し、開発グループの形成や、アプリ作りのきっかけを提供したい考えだ。



JAXAでは、第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)観測データや世界の雨分布情報(GSMaP)を利用したアプリ開発コンテストを実施している。今回の「アイデアソン」は、このアプリ開発コンテストに向けた開発グループの形成や、アプリ作りのきっかけを提供する狙い。「アイデアソン」は来年1月、デジタルハリウッド大学での開催を予定している。アプリコンテストの応募締め切りは来年2月。


詳細はJAXAの特設サイトを参照。
JAXA「JAXA OPEN API COMPETITION

2013年12月30日月曜日

JAXA、産業連携シンポジウム開催へ。衛星データ利用をテーマに来月27日、新宿コクーンタワーで。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、産業連携シンポジウムの開催に関するプレスリリースを発表した。JAXAのプレスリリースによれば、今年度の産業連携シンポジウムについて、来年1月27日に開催されることが明らかにされている。


産業連携シンポジウムはJAXAが毎年主催しているイベント。パネルディスカッションやトークセッションを通し、JAXAの産業連携活動を紹介することを目的としている。今年度は、「あなたのアイデアで衛星データをビジネスにのテーマの下、公開討論などが行われる見通し。


既にJAXAは、今年度の産業連携シンポジウムに関する特設サイトを開設している。特設サイトでは、2020年までの衛星データ利用ビジネスに関するアイディアが募集されており、応募されたビジネスアイディアから選定された2件については、産業連携シンポジウムでプレゼンが行われる予定だ。


参加は事前登録制で無料。来月27日14時から新宿のコクーンタワーで開催される。同シンポジウムの企画・運営業務は電通が受注している。


詳細はJAXAのプレスリリース及び特設サイトを参照。
JAXAプレスリリース「JAXA産業連携シンポジウムあなたのアイデアで衛星データをビジネスにの開催について
JAXA特設サイト「JAXA産業連携シンポジウム2014

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電通、JAXAからシンポジウム企画・運営業務を受注。予算額950万円。

JAXA、寄付金の使途を公表。「はやぶさ2」追跡管制設備の機能向上(約800万円)、有人宇宙船の研究開発(約90万円)など。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、「募集特定寄付金」の使途を公表した。昨年7月から今年3月末までに受け付けられた寄付金の使途を公表したもの。小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトや有人宇宙船の研究開発、宇宙太陽光発電システム(SSPS)の地上実験設備の開発などに使用された実績が明らかにされている。



JAXAは平成24年度より広く一般から寄付金を募る制度を新設している。JAXAがあらかじめ設定した寄付金対象の事業別に、賛同者がインターネットを介して寄付を行う仕組み。これまで、「はやぶさ2」や有人宇宙船の研究開発などをテーマに寄付金が募集されている。


今回公開された、「募集特定寄付金」の使途概要は以下の通り。研究開発事業の他、宇宙教育向けの教材開発にも寄付金が使用されている。

募集特定寄附金の使途(平成24年7月から平成25年3月受付分)
はやぶさ2    8,201,263円 追跡管制設備の機能向上として使用。
 有人宇宙船     876,320円 有人宇宙船に搭載する生命維持装置の研究開発、
                       緊急脱出システム運用時の人体挙動解析などに使用。
「きぼう」の利用   879,700円 軌道上飼育実験装置の研究開発費用の一部として使用。
宇宙科学研究  3,657,320円 観測ロケットの開発費用の一部として使用。
旅客機開発      170,320円 航空機の騒音源を計測する装置の一部に使用。
航空技術研究    188,320円 極超音速機の磁力支持模型の製作に使用。
未来技術研究    420,320円 SSPS地上実験用レーザー伝送システムの開発に使用。
衛星利用       283,320円 衛星を活用した研究費用の一部として使用。
イプシロンロケット  883,320円 射点音響環境計測費用の一部として使用。
宇宙教育       390,320円 宇宙教育活動で使用するテキスト教材の制作に使用。


詳細は、JAXAの発表を参照。
JAXA「JAXA事業にお寄せ頂いた募集特定寄附金の使途について

2013年12月29日日曜日

NICT、航空機搭載合成開口レーダPi-SAR2の技術支援業務を調達。

情報通信研究機構(NICT)は20日、航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR2)の技術支援業務の調達に着手した。合成開口レーダの開発・取扱・保守などの実績を有する業者に対し、Pi-SAR2の観測装置、処理装置、ソフトウェアについて、平成26年度における技術支援を求める構え。



Pi-SAR2は、NICTなどが開発した、高度6,000mから12,000mの間で30cmの分解能を有する航空機搭載合成開口レーダ。一度に5kmから10kmの領域が観測可能で、火山噴火時には噴煙に影響されず安全に観測ができることを特徴としている。NICTの公告では、Pi-SAR2を「自然災害における迅速な状況把握が社会的・学術的に強く求められている観測装置」として位置付けている。


今回の調達は、競争参加者の有無を公募で確認する方式で実施される。応募締め切りは来年1月20日まで。


詳細はNICTの公告、仕様書などを参照。
NICT公告・仕様書「高性能航空機搭載SARの観測装置、並びに処理装置・ソフトウェアのテクニカルサポート
NICT「調達情報

2013年12月28日土曜日

マックグラフィックアーツ、JAXAから映像制作を受注。予算額600万円。

マックグラフィックアーツは27日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「宇宙科学研究所ビデオシリーズ第16巻」の映像制作業務を受注した。JAXAが実施した映像制作に関する企画提案の募集に対し、マックグラフィックアーツが応募し、審査を経て選定された形だ。


宇宙科学研究所ビデオシリーズは、航空宇宙3機関統合前の1992年から続くシリーズ作品。これまで、ロケットや人工衛星、ブラックホールや太陽系などをテーマに、旧宇宙科学研究所から現在のJAXA宇宙科学研究所まで、宇宙科学研究にまつわる話題を取り上げてきた。今回マックグラフィックアーツが受注した第16巻では、宇宙空間の磁気圏について取り上げることが予定されている。


今回の調達は、あらかじめ予算額を提示した上で、業者から企画提案を募り受注者を選定する企画競争方式により行われた。JAXAの公告では、今回の発注分として600万円の予算額が提示されていた。


詳細はJAXAによる公示などを参照。
JAXA公示「「宇宙科学研究所ビデオシリーズVOL.16 (宇宙の嵐~磁気圏のなぞにせまる)(仮題)」の制作
JAXA契約・調達情報「企画競争の公告・選定結果の公告

2013年12月27日金曜日

筑波宇宙センター食堂の運営業者選定へ。試食会を経て来年3月に運営業者を決定。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は27日、筑波宇宙センターの食堂運営業務に関する公募型技術提案の手続きを開始した。JAXAの公告によれば、試食会などを経て、技術提案と価格提案から総合的に審査を行い運営業者を選定する見通しだ。



今回の公募型技術提案の対象となるのは、筑波宇宙センターの食堂。同センターに勤務するJAXA職員の他、見学者も食事することができる。現在はスペースサービスが運営を担当し、定食や麺類の他、「天の川カレー」や「冷やし宇宙坦々麺」など宇宙開発に因んだメニューも提供している。


JAXAは、来年2月まで技術提案を募集し、その後プレゼンや試食会などを経て運営業者を選定する計画を明らかにしている。運営業者は3月までに選定される見通し。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「筑波宇宙センター食堂運営業務
JAXA契約・調達情報「技術提案方式の公告・選定結果の公告

GPM主衛星、2月28日未明に打上げ。種子島宇宙センターからHⅡ-A23号機で。

三菱重工宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H-ⅡA23号機によるGPM主衛星の打上げ予定を発表した。JAXAが公開した2件のプレスリリースと、打上げ計画書により明らかになった。



打上げは来年2月28日の午前3時7分から5時7分の間を予定している。種子島宇宙センターからのリフトオフ後、およそ40分間でGPM主衛星と小型衛星7機からなるすべてのペイロードを軌道に投入する計画。


GPM主衛星は、日米共同開発により実現した地球観測衛星。JAXAと情報通信研究機構(NICT)が開発した二周波降水レーダ(DPR)を搭載し、日本と米、仏、印、中などの各国で形成される国際共同観測計画、全球降水観測計画(GPM)の中核を担う。GPMでは、主衛星と各国の副衛星群により、3時間毎の降水観測を実施する計画。GPMによる観測データは準リアルタイムで配信され、天気予報や洪水予測に活用されることが期待されている。


今回は、H-ⅡAロケットの打上げ能力の余裕を利用して、7機の小型衛星も打上げられる計画。帝京大学が開発した「微生物観測衛星」(TeikyoSat-3)の他、多摩美術大学の「芸術衛星」(INVADER)などが搭載される見通し。

GPM主衛星(手前)と副衛星群(奥)のイメージ
GPM主衛星(手前)と副衛星群(奥)のイメージ
(C)NASA


HⅡ-A F23/GPM主衛星
平成26年2月28日(金)打ち上げ予定

ペイロード
GPM主衛星 米国航空宇宙局(NASA)

「可視光通信実験衛星」(ShindaiSat) 信州大学
STARS-Ⅱ 香川大学
「微生物観測衛星」(TeikyoSat-3) 帝京大学
ITF-1 筑波大学
OPUSAT 大阪府立大学
「芸術衛星」(INVADER) 多摩美術大学
KSAT2 鹿児島大学

詳細はJAXAなどのプレスリリースを参照。
三菱重工・JAXAプレスリリース「H-IIAロケット23号機の打上げについて
JAXAプレスリリース「全球降水観測(GPM)計画主衛星の打上げについて

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「日米共同開発 GPM主衛星展」開催。筑波宇宙センターで来年1月7日から。
東京海上など損保各社、国際共同降水観測計画関連の宇宙保険を受注。 全球降水観測計画(GPM)に関する打上げ保険など。

2013年12月26日木曜日

「日米共同開発 GPM主衛星展」開催。筑波宇宙センターで来年1月7日から。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、筑波宇宙センターにおいて「日米共同開発 GPM主衛星展」を開催することを発表した。来月7日から同センターの展示施設「プラネットキューブ」で特別展として開催される予定。



GPM主衛星は、JAXAやNICTなどが関与し、日米が共同で開発した地球観測衛星。日、米、中国などによる降水観測を目的とした国際観測計画の一環として、今年度中の打上げが予定されている。


プラネットキューブは、宇宙に関する時事的なトピックを扱う展示施設。ミュージアムショップを併設している。人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)国際宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)などの試験モデルや実物大モデルが常設展示されている「スペースドーム」と同様に、入場料は無料。事前予約不要で見学可能。


詳細はJAXAの発表を参照。
JAXAプラネットキューブ企画展「日米共同開発 GPM主衛星展

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2013年12月25日水曜日

JAXA、H-Ⅲロケットの開発検討状況を公表。2020年以降、試験機2機を打ち上げる計画。主契約者の選定は来年2月以降。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、次期基幹ロケット(いわゆるH-Ⅲロケット)の開発検討状況に関する資料を公表した。同日に開催された文科省科学技術・学術審議会の宇宙開発利用部会への報告内容を公表したもの。これまでの検討状況として、2020年以降に試験機を2機打上げる計画や、開発・運用を取りまとめる民間事業者(主契約者)の選定予定などが明らかにされている。



JAXAは、宇宙政策委員会などの場におけるH-Ⅲロケットを巡る議論を踏まえ、JAXAによる「技術基盤の保持・活用」と、民間事業者に一層の「主体性を持たせること」を両立する体制を整備したい考えだ。具体的な体制として、政府による資金確保、JAXAによる総合システムの設計や液体ロケットエンジン技術などのキー技術の開発、民間による打上げサービス事業を踏まえた提案などの役割分担体制を提示している。民間の主体的関与を求める背景には、自律的な打上げサービス事業の展開や産業基盤の維持が挙げられている。これまでもJAXAは、「商業市場で売れるロケット」を目指し、「商業受注や海外からの打上げ輸送サービスの受注拡大により、事業規模の縮小を回避し、産業基盤を強化する」考えを示してきた経緯がある。


この他、今回の公表資料では今後の開発計画や来年度までの予定についても言及している。2020年度に太陽同期軌道(SSO)向けの試験機を、翌21年度には静止トランスファ軌道(GTO)向けの試験機を打ち上げる計画で、今後、設計やキー技術の開発・実証を行い、18年度から実機の製作に着手するとしている。今年度末までの予定としては、JAXA内部におけるプロジェクト準備審査などを経て、2月から3月末の間に主契約者となる民間事業者を選定する見通し。


詳細はJAXAのプレスリリースを参照。
JAXAプレスリリース「新型基幹ロケットの開発について

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JAXA、H-Ⅲロケットの検討状況を公表。2020年に初打ち上げを実施する計画。商業化への転換目指す。
中央府省庁、平成26年度概算要求を提出。H-Ⅲロケット(文科省)、高高度無人機(防衛省)など航空宇宙の新規事業も。
JAXA、次期基幹ロケットに向け種子島宇宙センターの改修検討へ。
文科省、H-Ⅲロケットに関する政策方針を公表。打上げ能力6トン、開発費1,900億円、JAXA主体で一層の低コスト化図る。

JAXA、滞空型無人機用合成開口レーダの開発検討へ。観測システム検討業務の調達に着手。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、滞空型無人機に搭載する合成開口レーダ観測システムに関する検討業務の調達に着手した。JAXAの公告によれば、今回調達を実施するのは、滞空型無人機に搭載する合成開口レーダのシステム検討。航空機搭載用合成開口レーダの設計、製作技術を保有する業者に対し、システム検討業務を発注する見通し。



滞空型無人機を巡っては、過去にJAXA航空本部が排他的経済水域の常時観測を実現する滞空型無人機の研究開発構想に基づく共同研究を公募している。この航空本部の構想においても、滞空型無人機の搭載物として、合成開口レーダが挙げられていた。


今回、JAXAは滞空型無人機に搭載する合成開口レーダについて、運用性の検討と、観測システムの実現に向けた課題抽出を業者に求める構え。JAXAは同日付で、実験航空機「飛翔」(ジェットFTB)向けの合成開口レーダ観測システムの検討業務についても調達に着手している。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「UAV(滞空型無人機)搭載Lバンド合成開口レーダ観測システムの検討
JAXA公告「実験航空機(FTB)搭載Lバンド合成開口レーダ観測システムの検討
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

JAXA、国際宇宙ステーションにおける無線送電技術の実証ミッションを検討。宇宙太陽光発電キー技術の実証に向けたミッション検討業務を発注へ。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」(JEM)を用いた宇宙太陽光発電(SSPS)関連ミッションを検討していることが、24日、分かった。同日付で「きぼう」における無線送電技術の実証ミッションに関する概念検討業務の調達に着手している。



SSPSは、宇宙空間に設置した太陽光発電設備により発電した電力を、マイクロ波などを介して地球に送電するアイディア。このSSPSの実用化に当たってのキー技術とされているのが、「無線送電技術」だ。今回、JAXAは「きぼう」を用いた実証ミッションの概念検討業務5件について、公告を掲載している。電離層プラズマの影響検証、マイクロ波ビーム制御、「きぼう」暴露パレットの回収などの技術分野別に、業者に対し検討を求める構えだ。


SSPSを巡っては、今年1月制定の宇宙基本計画において「我が国のエネルギー需給見通しや将
来の新エネルギー開発の必要性に鑑み、無線による送受電技術等を中心に研究を着実に進める」方針が示されている。また、8月には日本経団連の調査により、我が国の産業界からも「2050年までの宇宙太陽光発電実用化を目指す」との意向が挙がっていることも明らかにされている。



日本実験棟「きぼう」(JEM)
日本実験棟「きぼう」(JEM)
(C)NASA



詳細はJAXAの公告などを参照。
JAXA公告「無線送受電技術に関する「きぼう」を用いた軌道上実証ミッションの概念検討(そのア)
JAXA公告「無線送受電技術に関する「きぼう」を用いた軌道上実証ミッションの概念検討(そのイ)
JAXA公告「無線送受電技術に関する「きぼう」を用いた軌道上実証ミッションの概念検討(そのウ)
JAXA公告「無線送受電技術に関する「きぼう」を用いた軌道上実証ミッションの概念検討(そのエ)
JAXA公告「無線送受電技術に関する「きぼう」を用いた軌道上実証ミッションの概念検討(そのオ)
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

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経団連、エネルギー技術の普及イメージを発表。2050年までの宇宙太陽光発電実用化に言及。

2013年12月23日月曜日

政府、防衛大綱と中期防を閣議決定。効果的かつ安定的な宇宙利用を謳う。滞空無人機の導入も。

政府は17日、防衛計画の大綱(防衛大綱)と中期防衛力整備計画(中期防)を閣議決定した。防衛大綱及び中期防では、宇宙空間の防衛利用や滞空無人機の導入にも言及している。



防衛大綱は我が国の安全保障の基本方針や防衛力整備目標を示す文書として、中期防は防衛大綱が示す基本方針に対し必要な装備品の数量などを明示するものとして位置付けられている。今回制定された防衛大綱では、宇宙利用について「人工衛星を活用した情報収集能力や指揮統制・情報通信能力」の強化する他、「宇宙状況監視等の取組」等を通じた「効果的かつ安定的な宇宙空間の利用を確保する」方針が示されている。これについて、中期防では「Xバンド衛星通信網」の整備や「人工衛星の防護に係る研究」の積極的推進などの具体的方策が挙げられている。これら宇宙空間の防衛利用に際しては、国内の関係機関や米国と、人材の育成を含めた連携、協力を実施することも明らかにされている。

 中期防では平成30年までの装備品の整備数量も明記されている。航空機等の整備数量は以下の通り。

中期防衛力整備計画(平成26年度~30年度)における航空機等の整備数量
(中期防別表より抜粋。車両、艦船等については省略)

陸上自衛隊
ティルト・ローター機     17機
CH-47JA輸送ヘリ     6機

海上自衛隊
P-1哨戒機         23機
SH-60K哨戒ヘリ     23機
艦載多用途ヘリ        9機

航空自衛隊
新早期警戒管制機      4機
F-35A戦闘機        28機
F-15戦闘機近代化改修 26機
新空中給油・輸送機      3機
C-2輸送機          10機
PAC-3能力向上      2個高射群他

その他
滞空型無人機         3機

この他、中期防では部隊の改編や駐屯地の配置・運営に当たり、官公需法に基づく国等の契約の方針を踏まえ、地元中小企業の受注機会に配慮することが明らかにされている。


詳細は、防衛省の発表などを参照。
防衛省「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱ついて
防衛省「中期防衛力整備計画(平成26年度~30年度)について
防衛省「「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)について」
防衛省「防衛大綱と防衛力整備

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防衛省、高高度無人機の導入検討へ。宇宙空間の利用促進も合わせて検討。

毎日映像音響システム、JAXA相模原キャンパスの音響環境整備業務を受注。300万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日相模原キャンパスの音響環境整備業務に関する入札結果を公表した。JAXAの公表によれば、価格評価方式の一般競争入札の結果、毎日映像音響システムが300万円で受注したことが明らかにされている。



今回、毎日映像音響システムが受注したのは、JAXA相模原キャンパスの研究・管理棟、入札・会議室の音響環境整備業務。入札・会議室は入札説明会の会場として入札公告に頻繁に記載されている他、過去には、小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)帰還イベントのパブリックビューイング会場となったこともある。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2013年12月22日日曜日

ティー・エヌ・オートモーティブジャパン、JAXAから旅客機客室内の人体挙動解析業務を受注。約300万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、「乱気流遭遇時の旅客機客室内における人体挙動解析」に関する入札結果を公表した。JAXAの公表によれば、価格評価方式の一般競争入札の結果、ティー・エヌ・オートモーティブジャパンが約300万円で受注したことが明らかにされている。



 ティー・エヌ・オートモーティブジャパンは、自動車等に関する各種シミュレーションを事業としている。同社のウェブサイトでは、自動車の衝突シミュレーション映像の他、航空機や軍用車両に関するシミュレーション事例も紹介される。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2013年12月21日土曜日

JAXA、共同研究公募「オープンラボ」の選定結果を発表。「はやぶさ」技術の電力分野への応用など3件。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「オープンラボ」に関する選定結果を発表した。オープンラボはJAXA産業連携センターが中心となり、国内の企業・大学等による宇宙航空分野への参入と、宇宙航空産業の裾野拡大を推進するための施策として行っている共同研究公募。今回は、平成25年第2回公募分として3件の研究テーマが選定された形だ。



オープンラボは、国内の企業や大学などから研究提案を募り、複数次の審査を経て、JAXAとの共同研究を選定する制度。JAXAの技術を応用した新ビジネスの立ち上げや、ベンチャー企業の起用、新たな技術をJAXAのプロジェクトに取り込むことなどをねらいとしている。これまでの成果として、国際宇宙ステーション(ISS)でのCM撮影などの新ビジネスが立ち上げられている。


今回の平成25年度第2回オープンラボの選定結果では、小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)でJAXAが利用した電源制御技術を応用した「需給状況に応じた電力制御システムの事業化」、ワイヤレスハーネス(無線配線技術)の衛星などへの転用を目指した「ワイヤレスハーネス技術の宇 宙機適用に関する研究開発」、JAXAの持つ耐放射線技術を活用する「高分解能で耐放射線性のあるレゾルバ/デジタル(RD)コンバータ」の開発の3テーマが選定されたことが明らかにされている。10件の応募に対し、外部有識者を交えた審査の結果、民間企業3社の提案が採択された形。


平成25度 第2回「JAXAオープンラボ公募」選定結果

ワイヤレスハーネス技術の宇 宙機適用に関する研究開発  (国際電気通信基礎技術研究所)
高分解能で耐放射線性のあるレゾルバ/デジタル(RD)コンバータ (多摩川精機)
需給状況に応じた電力制御システムの事業化 (エネゲート)


小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)(模型)
小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)(模型)
(C)航空宇宙経済新聞


詳細はJAXAの発表を参照。
JAXA産業連携センター「平成25度 第2回「JAXAオープンラボ公募」の選定結果について

2013年12月19日木曜日

JAXA、ヒドラジンに代わる低毒性推進薬の利用を検討へ。衛星推進系への利用検討業務の調達に着手。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は19日、ヒドラジン推薬に代わる低毒性推進薬として研究されているHAN ( 硝酸ヒドロキシルアンモニウム )とHN( 硝酸ヒドラジン )を利用した推進薬に関する、衛星推進系への適用検討業務の調達に着手した。JAXAの公告によれば、今回の調達は、HAN/HN系推進薬に関する技術情報を有する業者に対し、HAN/HN系推進薬を衛星推進系に利用した場合における、メリットや課題の抽出を求める内容だ。



現在、我が国の衛星には、ヒドラジンなどの物質が推進薬(燃料)として用いられている。ヒドラジンは毒性を持ち、他の物質と接触した場合は爆発の危険性を有するなど、取り扱いに危険が伴う物質だ。過去、宇宙開発委員会などの場においては、種子島宇宙センターにおける衛星への燃料充足時のヒドラジンの取り扱いについて審議された経緯もある。


今回、JAXAはヒドラジン系推進役に代わる低毒性推進薬として、HAN/HN系推進薬を衛星に利用した場合のメリットと課題の抽出、他の推進薬との比較結果などを業者に求める構え。調達は競争への参加者を公募する方式で行われる。応募締切は来年1月9日まで。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「HAN/HN系推進薬の衛星推進系への適用検討
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

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JAXA、防護服を調達。種子島の燃料充填作業用。不足分を補うねらい。

三菱電機、「いぶき」後継機をJAXAから受注。2017年度打上げ予定。

三菱電機は12日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の後継機(GOSAT-2)の開発、製造について宇宙航空研究開発機構(JAXA)から受注したことを発表した。同日付のプレスリリースで明らかにしたもの。



三菱電機は「いぶき」の衛星システムの開発・製造を担当した実績を持つ。今回受注したGOSAT-2については、衛星システムに加えて観測センサーや地上設備、打ち上げ後の管制運用などをトータルで担当するとしている。


GOSAT-2の本格的な開発・製造は来年4月から開始される見通し。2017年度の打上げを予定している。現在運用中の「いぶき」については、2014年までに定常運用段階を完了し、後期利用段階へ移行することが予定されている。


詳細は三菱電機のプレスリリースを参照。
三菱電機プレスリリース「温室効果ガス観測技術衛星2号(GOSAT-2)を受注

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「いぶき」、後期利用段階へ。宇宙技術開発が衛星管制運用業務を受注。

2013年12月18日水曜日

「みちびき」と「きく8号」によるGPS津波計からのデータ伝送実験を開始。NICTとJAXA、東大など。

情報通信研究機構(NICT)は16日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)東京大学地震研究所高知工業高等専門学校日立造船と共同で、準天頂衛星初号機「みちびき」技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」(ETS-Ⅷ)によるGPS津波計からのデータ伝送実験を開始 したことを発表した。今回の実験は、「みちびき」から送信された精密な時刻情報(精密暦)に基づいて津波計が計測を行い、その結果を「きく8号」により地上局に転送する試みだ。



NICTのプレスリリースによれば、高知高専の全体統括の下、日立造船が精密暦データの作成を、JAXAが「みちびき」「きく8号」による精密暦データや津波計の観測データの転送を、NICTが津波計と「きく8号」間の送受信システムを開発する役割分担だ。この実験により地上に転送された津波計の観測データは、広く一般に配信される他、東大地震研による次世代津波防災システムの検討に利用される計画。


東日本大震災に伴う津波では、国土交通省港湾局が配備した津波計の観測データなどに基づき、気象庁が津波警報を引き上げた実績がある。しかしながら、津波第一波の観測後は、被災地域の停電に伴う通信遮断により、津波計の観測データをリアルタイムに受信できない状況も発生していた。今回は、東日本大震災における津波計のリアルタイムデータの喪失を背景として、地震や津波による被害の無い地域へ津波のデータを伝送する仕組みを構築し、早期津波警戒システムの確立することを目的としている。


「みちびき」と「きく8号」を用いた早期津波警戒システムについては、高知高専の提案により、文科省の宇宙科学技術推進調整委託費のテーマに選定されている。今回の実験は高知県室戸沖に設置された津波計を対象として実施される予定。


詳細はNICTなどのプレスリリースを参照。
NICTプレスリリース「準天頂衛星初号機「みちびき」と技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始
日立造船プレスリリース「準天頂衛星初号機「みちびき」と技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始
JAXA「きく8号」(ETS-Ⅷ)最新情報詳細「技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」を用いたGPS津波計からのデータ伝送実験を開始
 室戸沖GPS津波計沖合実証実験「観測データ公開ページ

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JAXA、小惑星イトカワ微粒子の展示団体を募集。国内の博物館などを対象に。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13日、小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)によりもたらされた小惑星イトカワの微粒子について、一般公開を行う団体の募集に着手した。国内の科学館、博物館などを対象として展示団体の応募を呼び掛けている。



小惑星イトカワの微粒子は、2010年の「はやぶさ」の帰還により回収されたもの。カプセル回収後、JAXAによるキュレーション(サンプルの回収、分類など)により数百粒の微粒子が採取されており、JAXAと国内外の研究機関により分析、研究が進められている。


今回、JAXAでは国内の博物館などを対象として、来年1月から平成27年度までの期間で、イトカワの微粒子の貸与展示を実施する構えだ。イトカワの微粒子については、既に国立科学博物館で常設展示されている他、今年夏にはJAXA宇宙科学研究所からほど近い相模原市立博物館でも一般公開されていた。


詳細はJAXAの発表を参照。
JAXA「小惑星イトカワ微粒子展示希望団体の募集について

2013年12月17日火曜日

「いぶき」、後期利用段階へ。宇宙技術開発が衛星管制運用業務を受注。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の後期利用段階における衛星管制業務に関する選定結果を発表した。JAXAが発表した契約相手方選定結果に関する公示では、宇宙技術開発が受注に成功したことが明らかにされている。選定は、業者から技術提案を募る方式で行われた。



GOSATは二酸化炭素などの温室効果ガスの観測を目的としてJAXAなどが開発した衛星。二酸化炭素分布を全地球規模で観測することが可能で、京都議定書において各国が合意した目標値の達成度合の判断などに「共通の物差し」を提供する役割を持つ。


後期利用段階とは、一般的に定常運用段階までの衛星ミッション寿命を達成した後の段階のことを指す。ミッション寿命を達成した後、太陽電池パドル発生電力、バッテリ残容量、残量推薬を評価する定常運用終了審査を経て、継続運用可能と判断された場合、後期利用段階へ移行する形だ。GOSATについては、2014年までに定常運用段階を完了し、後期利用段階へ移行する見通しが明らかにされている。


宇宙技術開発は人工衛星の運用、軌道解析や人工衛星・搭載機器の評価システム構築を事業とする企業。これまでも、技術試験衛星Ⅶ型「きく7号 おりひめ・ひこぼし」(ETS-Ⅶ)静止気象衛星5号「ひまわり5号」(GMS-5)陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)小惑星探査機(MUSES-C)などの運用に携わっている。


詳細はJAXAによる公示などを参照。
JAXA公示「温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)後期利用段階の衛星管制運用業務
JAXA契約・調達情報「技術提案方式の公告・選定結果の公告
JAXA第一衛星利用ミッション本部「いぶき(GOSAT)

2013年12月16日月曜日

【小笠原西之島沖噴火活動】JAXA、合成開口レーダーによる噴火活動の航空観測実施へ。航空会社の選定に着手。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)西之島沖の噴火活動について航空機搭載の合成開口レーダーによる観測を検討していることが、16日までに明らかになった。同日付で観測飛行業務の調達に関する公告を掲載している。



JAXAの公告によれば、今回の観測に使用されるのはJAXAが所有する航空機搭載Lバンド合成開口レーダー2(Pi-SAR-L2)。1.76mという高い分解能が特徴であり、今年10月の台風26号に伴う被害観測に投入された実績を持つ。前シリーズのPi-SAR-Lについても、2011年のタイ豪雨災害に伴う観測飛行に投入されている。


今回、JAXAが調達するのは、Pi-SAR-L2の航空機への取り付けや観測飛行業務。航空会社の選定は競争参加者を公募する方式にて実施される。応募期限は来年1月7日まで。


詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「航空機搭載Lバンド合成開口レーダ2(Pi-SAR-L2)による小笠原諸島・西之島沖火山噴火状況の観測飛行
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

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【小笠原西之島沖噴火活動】パスコ、新島の形成に関する衛星画像を公開。陸地の拡大、鮮明に。

RESTEC、高校生を対象とした職場訪問を開催。長崎県の高校生7名が本社を見学。

リモート・センシング技術センターは4日、長崎県立長崎南高校による職場見学を行った。高校生7名に対し、RESTECが行うリモートセンシング事業などを説明した上で、展示などを案内した模様。



長崎南高校は、今年度から文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けている。SSHは、指定校において理数系に重点を置いたカリキュラム設定などを行う文科省の施策。長崎南高校では、今年8月にはSSH首都圏研修として、首都圏のJAXA施設などへの研修旅行も実施している。

RESTECは、今回の職場訪問の模様をウェブサイトで公開している。「今後も人工衛星やリモートセンシングに対する理解を深める機会として職場訪問を実施していく予定」であることを明らかにしている。


詳細はRESTECの発表を参照。
RESTECお知らせ「高校生による本社への職場訪問が行われました

2013年12月15日日曜日

電通、JAXAからシンポジウム企画・運営業務を受注。予算額950万円。

電通は10日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開催を予定している「JAXA産業連携シンポジウム」の企画・運営業務を受注した。JAXAが実施したシンポジウムに関する企画提案の募集に対し、電通が応募し、プレゼンなどを経て選定された形だ。



 産業連携シンポジウムはJAXAが毎年主催しているイベント。パネルディスカッションやトークセッションを通し、JAXAの産業連携活動を紹介することを目的としている。今回電通が受注したシンポジウムの企画・運営業務については、あらかじめ予算額を提示した上で、業者から企画提案を募り受注者を選定する企画競争方式により行われた。JAXAの公告では、今回の発注分として950万円の予算額が提示されていた。


詳細はJAXAによる公示などを参照。
JAXA公示「平成25年度JAXA産業連携シンポジウムの企画・運営業務
JAXA契約・調達情報「企画競争の公告・選定結果の公告

2013年12月14日土曜日

リンク、破産申請へ。リージョナルLCC就航準備中の倒産。負債総額9億円。

日本初のリージョナルLCCを目指し、就航準備を進めていたリンクが、自己破産の申請を検討していることが、帝国データバンク東京商工リサーチの調べで明らかになった。各企業調査会社が報じたところによれば、負債総額は9億円になる見通し。



リンクは、福岡空港と北九州空港をハブとして福岡県と四国地方を結ぶLCC路線の開設準備を進めており、今年7月には国土交通省に航空運送事業の許可を申請していた。しかし、就航時までの必要資金、約22億円の調達が難航していたため、破産の申請を検討するに至った模様。13日現在、リンクのウェブサイトにはアクセスできない状態が続いている。


詳細は、帝国データバンク及び東京商工リサーチの発表を参照。
帝国データバンク大型倒産速報「国内近距離路線の就航を計画していたLCC 株式会社リンク 事後処理を弁護士一任 負債9億円
東京商工リサーチTSR速報「(株)リンク

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JAXA、電動航空機の実験場に空自岐阜基地を選定。来年度から飛行実証へ。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、現在開発中の電動航空機について、航空自衛隊岐阜基地において実証飛行を行う計画であることが5日、分かった。JAXAが同日付で配信したメールマガジンの中で、実験場の選定結果について言及したもの。



航空機の電動化は燃費や整備費の大幅な低減につながる可能性があることから、JAXAの航空本部では、将来の航空機技術の競争力を左右する重要技術と位置づけ、電動化航空機の有人飛行実証計画(FEATHER)を進めている。FEATHERでは、JAXAが開発した電動推進システムをモーターグライダーに搭載し、来年度に飛行実証試験を実施することが計画されている。


JAXAは、定期便の運航を妨げないこと、3000m級の滑走路を有していること、格納庫などの設備が確保できること、その他温度や風向・風速環境が実証飛行に適していることなどを条件に、実験場の選定を進めてきた。有力な候補として名古屋空港空自百里基地下地島空港やオーストラリアの飛行場等が挙がっていたが、名古屋空港については定期便の多さが、百里基地については中部航空方面隊第7航空団や航空総隊偵察航空隊によるスクランブル発進の可能性が、下地島については気候条件が、オーストラリアの飛行場については予算上の制約が課題となり、最終的に岐阜基地が選定された形だ。百里基地と異なり、岐阜基地には戦闘機部隊は設置されておらず、スクランブル発進の影響を受ける可能性は少ない。


岐阜基地では、空自の飛行開発実験団が試験を行っている他、川崎重工岐阜工場と隣接している。その起源は、大正時代までさかのぼり、零式艦上戦闘機が初飛行した場所(当時の各務原飛行場)としても知られている。


詳細はJAXAのメールマガジンを参照。
JAXA「JAXAメールマガジンバックナンバー

2013年12月13日金曜日

ヤマダ電機、JAXAから3Dプリンタを受注。約250万円。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、3次元プリンタ(3Dプリンタ)の調達に関する入札結果を公表した。JAXAの公表によれば、価格評価方式の一般競争入札の結果、ヤマダ電機が約250万円で受注に成功したことが明らかにされている。



ヤマダ電機は家電小売り業として店舗を展開する一方、国が実施する物品やサービスの入札に必要な競争参加資格(全省庁統一資格)を保有するなど、官公庁に対しても販売体制を整備している。3Dプリンタについては、日本橋総本店などを中心として取り扱いを始めている。


航空宇宙部門における3Dプリンタの利用については、米国航空宇宙局(NASA)によるロケットエンジン用部品への応用に関する研究の他、JAXAにおいても航空エンジンの研究開発資する模型エンジンの製造に利用された先行事例があるものの、今回JAXAが調達した3Dプリンタの利用目的については、入札結果の公表では明らかにされていない。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

2013年12月12日木曜日

ネコビデオビジュアルソリューションズ、JAXAの「技術研究発表会」をインターネット生中継。18日10時から。

ネコビデオビジュアルソリューションズは18日に予定されている「JAXA技術研究発表会」の模様をインターネット放送により生中継することを明らかにした。技術研究発表会は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究開発本部などが中心となり、毎年行っているもの。今年度は「社会課題の解決に貢献する宇宙航空技術」をテーマに、JAXAの活動状況などに関する最新情報が発表される見通しだ。


JAXAが公表している技術研究発表会のプログラムによれば、発表会ではJAXA職員らによる「一般講演」と、口頭・展示による「研究発表」が行われる。このうち、「一般公演」の模様がインターネット放送により生中継される予定だ。18日10時より御茶ノ水ソラシティ2階ホールにて開催。入場は無料。インターネット生中継はUSTREAM及びニコニコ生放送を通じて配信される予定。


技術研究発表会及びインターネット生中継のプログラムなど、詳細はJAXA及びネコビデオビジュアルソリューションズのウェブサイトを参照。
JAXA研究開発本部「JAXA技術研究発表会
JAXA研究開発本部「発表会プログラム
ネコビデオビジュアルソリューションズ「【放送予定】12/18 10:00~ JAXA技術研究発表会

東京海上など損保各社、国際共同降水観測計画関連の宇宙保険を受注。 全球降水観測計画(GPM)に関する打上げ保険など。

東京海上日動火災保険など国内損保各社は先月26日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施する全球降水観測計画(GPM)に関する宇宙保険を受注した。JAXAが保険に関する企画提案を募り、損保各社がこれに応じたもの。



GPMは、日米共同開発のGPM主衛星と米、仏、印、中が開発する副衛星群で構成される国際観測計画。このうち、JAXAと情報通信研究機構(NICT)は、GPM主衛星に搭載される二周波降水レーダー(DPR)の開発を担当している。


宇宙保険には、打上げ時における「発射から軌道投入まで」のリスクを保証する打上げ保険や、ロケットの爆発等による第三者への損害を補償する第三者賠償責任保険などがある。今回、JAXAからは「GPM/DPR保険の購入」として、打上げ保険などが発注され、東京海上を中心とする損保4社が受注に成功した形だ。


DPRを搭載したGPM主衛星は、今年度中に種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより打上げられる予定。衛星本体は先月27日に種子島宇宙センターに搬入されている。


全球降水観測水計画/二周波降水レーダ(GPM/DPR)保険の購入(打上げ及び軌道上危険担保保険)
幹事会社 東京海上日動
引受会社 三井住友海上
       損保ジャパン
       日本興亜損保


詳細はJAXAによる公示などを参照。
JAXA公示「全球降水観測水計画/二周波降水レーダ(GPM/DPR)保険の購入(打上げ及び軌道上危険担保保険)
JAXA契約・調達情報「企画競争の公告・選定結果の公告


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2013年12月11日水曜日

JAXA、宇宙事業に関する国民の意識調査実施へ。調査会社を入札により選定する見通し。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が国民に対する「意識調査」の実施を計画していることが明らかになった。26日に調査会社の選定に関する入札公告を発表したもの。「意識調査」は毎年実施されており、今回も例年と同じく一般競争入札により調査会社を選定した上で、意識調査を実施する見通しだ。



「宇宙事業に関する国民の意識調査」は毎年実施されており、インターネット上に公開されている情報によれば、数百から数千人規模のサンプル調査対象者に対し、「JAXAの認知度」や「日本の宇宙開発に対する満足度」、「日本が宇宙開発を推進する是非」などを問うもの。調査結果については、理事会議等において経営層に共有されていることが、文部科学省の独立行政法人評価委員会の場で明らかにされている。過去には、「JAXAタウンミーティング」において、意識調査の結果を引用する形で、人工衛星の認知度合が紹介されたこともある。


今回実施されるのは「平成25年度 宇宙事業に関する国民の意識調査」。JAXAの公告によれば、24日までに価格評価方式の一般競争入札により調査会社が選定される予定だ。過年度の意識調査に関する入札結果は以下の通り。

 平成24年度宇宙事業に関する国民の意識調査 エスピー研が270万円で受注
 平成23年度宇宙事業に関する国民の意識調査 エスピー研が300万円で受注
 平成22年度宇宙事業に関する国民の意識調査 日本宇宙フォーラムが613万円で受注


今回の入札に関する詳細と過年度の入札結果については、JAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報

JAXA採用担当者ブログ、JAXAの入札制度を紹介。採用パンフレット調達の実例をもとに、業者選定の舞台裏を明かす。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の採用担当者ブログでは、「採用活動の裏側」と題し、JAXAの入札制度を紹介している。JAXAが実施した採用パンフレットに関する入札を例に挙げ、仕様策定から入札までの流れを中心に、調達フローを解説している。



同ブログは、採用活動に関わる裏話などを紹介する目的で不定期に更新されているもの。平成27年度新卒採用の準備状況を伝える一環として、JAXAの入札制度について言及している。


同ブログで紹介されている入札の流れは以下の通り。

 1.要求元(JAXAでは「原局」と呼称)が仕様書案を作成。
 2.原局=契約部間での調整を経て、仕様書を策定。
 3.契約部がインターネット上で調達要求を告知。
 4.上記3.に応えた業者に対し、競争を実施。
   競争には、入札金額による価格評価方式、入札金額と企画内容による総合評価方式、
   企画内容を重視する企画競争の3種類がある。
 5.上記4.により受注者が決定。

以上の手順により業者選定を行う場合、調達要求の発生から最低でも1ヶ月の時間を要するとの記載もある。


詳細はJAXAの採用担当者ブログを参照。
JAXA採用担当者ブログ「採用活動の裏側(会社案内パンフレットを作る)
JAXA「JAXA採用担当者ブログ2013



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マイナビ、JAXAの平成27年度新卒採用事務局支援業務を約1,200万円で落札。

【小笠原西之島沖噴火活動】パスコ、新島の形成に関する衛星画像を公開。陸地の拡大、鮮明に。

パスコは4日までに、小笠原諸島西之島周辺における噴火活動に関する衛星画像を公開した。西之島周辺では、先月20日以降、噴火活動が確認されており、この噴火により同島南東500メートル沖合に新たな陸地が出現している。



パスコは先月22日以降、独衛星TerraSAR-Xを用いた監視を実施していた。今回公表されたのは、先月22日及び28日に撮影された衛星画像。衛星画像からは、一週間の間に新島が拡大した様子が確認できる。


詳細はパスコの発表を参照。
パスコ「2013年11月 西之島 噴火活動モニタリング

2013年12月10日火曜日

JAXA、「のぞみ」後継機のシステム概念設計を発注へ。火星の大気が散逸する過程を追う。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、宇宙科学研究所の理学委員会において検討されている火星探査機「のぞみ」(PLANET-B)後継機のシステム概念検討の調達に着手した。人工衛星システムの設計・製造業者を対象として、9日から24日まで公募を行っている。



火星大気散逸探査(のぞみ後継機)検討ワーキンググループは、JAXA宇宙科学研究所の松岡准教授を主査として、同研究所理学委員会の下に組織されたもの。今回の調達では、同ワーキンググループにおいて検討されている、火星から大気が散逸する過程などを研究するプロジェクトに供する衛星の概念設計。JAXAが公開した公告によれば、検討中のプロジェクトにおけるミッション要求には、火星の電離層の撮影が含まれているとのこと。


我が国においては、宇宙三機関統合前に旧宇宙科学研究所によって、1998年に火星探査機「のぞみ」が打ち上げられている。「のぞみ」は通信系・熱制御系の不具合が原因で、火星軌道への投入が断念された経緯がある。今回概念設計が行われる衛星が打ち上げられた場合、我が国ににとって2回目の火星探査の試みが実施されることとなる。


 詳細はJAXAの公告を参照。
JAXA公告「火星大気散逸探査ミッションのシステム概念設計
JAXA契約・調達情報「参加者確認公募の公告

2013年12月9日月曜日

マイナビ、JAXAの平成27年度新卒採用事務局支援業務を約1,200万円で受注。

就職活動支援サイトなどを運営するマイナビは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新卒採用事務局支援業務を約1,200万円で受注した。JAXAが実施した総合評価方式による一般競争入札において、応札したもの。2日にJAXAが公開した入札結果により明らかにされている。



JAXAでは1日より、平成27年度新卒採用向けエントリーページを開設している。今後、関東・近畿地方の大学において説明会を開催した上で、3月からエントリーシートの受付を開始し、複数回の面接などを経て、ロケットや人工衛星などのプロジェクト運営を行う研究開発系、基盤・応用研究に従事する研究専任系、事務部門業務などに従事する経営管理系の3職種を採用する見通しだ。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報



※12月14日、件名を修正いたしました。


大塚商会、JAXAから事務用消耗品システムを受注。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は先月29日、事務用消耗品等購入用電子調達システムに関する入札結果を発表した。入札価格を競う一般競争入札において、大塚商会が約3千万円で落札した形だ。



大塚商会は法人向け会員制オフィス用品通販サービス「たのめーる」などを運営している。JAXAでは、過去に少額契約システムの導入により業務時間が4%削減されたことが、総務省独立行政法人評価委員会において明らかにされている。


詳細はJAXAの入札情報公開システムを参照。
JAXA「入札情報公開システム
JAXA「契約・調達情報